ギリシャ神話大全 Mythologia Hellenica
THE MYTHS OF ANCIENT GREECE

神々と英雄、
物語の記録

オリンポスの神々から十二の功業を成したヘラクレス、十年をかけて故郷へ帰ったオデュッセウスまで。ギリシャ神話の主要な登場人物と系譜、名高いエピソードをまとめたリファレンスです。

35神々
8英雄
12異形
9物語
The Pantheon of Hellas

神々

混沌から生まれた原初の神々から、天と海と冥界を分け治めたオリュンポスの主神まで。系統を選んでご覧ください。

クロノスを倒したゼウスを頂点に、オリュンポス山の頂に住まう主神たち。人と同じ姿と感情を持ち、ギリシャ神話の中心を担う。ヘスティアが座をディオニュソスに譲ったとする伝承もあり、ここでは両者を併せて掲げる。

ゼウス Zeus 天空と雷霆の主神・オリンポスの王

クロノスとレアの末子。父を打ち倒して兄弟たちと世界を分け、天空の支配権を得た。数多の神話で子をなし、その系譜はオリンポス全体の中心をなす。

雷霆樫の木
ヘラ Hera 結婚と家庭を司る女神・ゼウスの正妻

天の女王として崇められる一方、夫の度重なる不貞に激しく嫉妬し、その子らを苦しめる物語で知られる。ヘラクレスの名は「ヘラの栄光」を意味するが、彼女は生涯彼を苦しめ続けた。

孔雀柘榴王冠
ポセイドン Poseidon 海と地震、馬を司る神

ゼウス、ハデスと共に世界を分割し、海洋の支配者となった。気性が荒く、怒ると三叉戟で大地を揺らし嵐を起こすという。トロイア戦争ではギリシャ勢に敵対した。

三叉戟イルカ
デメテル Demeter 豊穣と大地の恵みを司る女神

娘ペルセポネがハデスに連れ去られた悲しみから大地の実りを止め、世界に飢饉をもたらした。この物語は四季の移ろいの起源として語り継がれる。

麦穂松明角杯
アテナ Athena 知恵と戦略、工芸を司る女神

ゼウスの頭から武具を身につけた姿で誕生したとされる処女神。アテナイの守護神であり、知略に長けた英雄オデュッセウスを常に助けた。

フクロウアイギスオリーブ
アポロン Apollo 太陽と音楽、予言、医術を司る神

アルテミスの双子の兄。デルフォイの神託を司り、詩と音楽の守護者として崇められた。理性と秩序の象徴とされる。

竪琴月桂樹
アルテミス Artemis 狩猟と月、野生を司る女神

アポロンの双子の妹で、生涯純潔を守る狩猟の女神。森と野生動物の守護者であり、出産の女神としても信仰された。

弓矢三日月鹿
アレス Ares 戦争の神

血なまぐさい戦の激情そのものを体現する神。冷徹な戦術よりも殺戮の狂気を象徴し、他の神々からも敬遠されがちだった。

アフロディーテ Aphrodite 愛と美を司る女神

ウラノスの血が海に落ちて生まれた泡から誕生したという。その美しさは神々と人間の双方を惑わし、トロイア戦争の発端にも深く関わった。

貝殻薔薇
ヘファイストス Hephaestus 鍛冶と炎、職人技を司る神

生まれつき足が不自由で、母ヘラに一度は天界を追われた。オリンポスの神々の武具や宮殿を鍛え上げる比類なき匠として、後に迎え入れられた。

金床
ヘルメス Hermes 神々の伝令、旅人と商人を司る神

生まれてすぐ牛を盗み竪琴を発明したという俊敏な神。神々と冥界の間を自在に行き来し、死者の魂を冥界へ導く役割も担う。

翼の靴竪琴
ヘスティア Hestia 炉の火と家庭を司る、最年長の女神

クロノスとレアの長子で、ゼウスの姉にあたる。争いを好まず生涯純潔を守り、家々の炉とオリンポスの聖火を静かに見守り続けた。後の伝承では、オリンポス十二神の座をディオニュソスに譲ったとも語られる。

炉の火家庭
ディオニュソス Dionysus 葡萄酒と豊穣、演劇を司る神

人間の母セメレとゼウスの間に生まれ、後にオリンポスの十二神に迎えられた。祭礼と陶酔、演劇の起源に深く結びつく神。

葡萄の蔦テュルソス
Mortals of Legend

英雄・伝説

神の血を引き、あるいは神々の寵愛を受けて数々の試練に挑んだ者たち。

ヘラクレス Heracles 十二の功業を成した最強の英雄

ゼウスと人間の女アルクメネの子。ヘラの呪いで正気を失い家族を手にかけた罪を償うため、ネメアの獅子退治やヒュドラ討伐など十二の難業に挑み、死後は神として迎えられた。

父:ゼウス武器:棍棒
ペルセウス Perseus メデューサの首を討ち取った英雄

ゼウスとダナエの子。見る者を石に変える怪物メデューサの首を、アテナとヘルメスの助けを得て討ち取った。その首は後にアンドロメダを海の怪物から救う際にも用いられた。

父:ゼウス武器:剣
テセウス Theseus 迷宮の怪物ミノタウロスを討伐

アテナイの王子(一説にポセイドンの子)。クレタ島の迷宮に棲む怪物ミノタウロスを、王女アリアドネから授かった糸玉を頼りに討伐した。後にアテナイ王として多くの改革を行ったとされる。

父:アイゲウス/ポセイドン迷宮の糸
イアソン Jason アルゴー船を率いた黄金の羊毛の探求者

王位を追われたイオルコスの王子。奪われた王位を取り戻すため、アルゴー船を率いて黄金の羊毛を求める大冒険に出た。魔女メデイアの助力で目的を果たすが、後にその関係は悲劇的な結末を迎える。

船:アルゴー号宝:黄金の羊毛
アキレウス Achilles トロイア戦争最強の戦士

女神テティスと人間ペレウスの子。唯一の弱点である踵を除き不死身の肉体を持つ。親友パトロクロスの死をきっかけに戦場へ戻り英雄ヘクトルを討つが、自らもパリスの矢に踵を射られ命を落とした。

母:テティス弱点:踵
オデュッセウス Odysseus 木馬の策を考案した知将

イタケの王。トロイア陥落の決め手となった「木馬の策」を考案した知将で、戦後は故郷イタケへ帰る道中、怪物や魔女、神々の試練に十年もの間翻弄され続けた。

知略の英雄加護:アテナ
パンドラ Pandora 災いと希望の壺を開いた人類最初の女性

プロメテウスが天の火を人間に与えた罰として、ゼウスの命によりヘファイストスが土から創り出した人類最初の女性。神々から美貌と才を与えられたが、好奇心から封じられていた壺(パンドラの箱)を開け、あらゆる災いを世界に解き放ってしまう。慌てて蓋を閉じたときには、壺の底にただ一つ「希望」だけが残っていたという。

壺(箱)夫:エピメテウス
ミダス王 Midas 触れるものすべてを黄金に変えたフリギアの王

フリギアの王。酒の神ディオニュソスの従者シレノスを手厚くもてなした褒美として、触れるものすべてを黄金に変える力を授かった。だが口にする食べ物までも黄金と化してしまい、たちまち後悔してパクトロス川に身を浸し呪いを解いたという。

黄金の触れフリギア王
Giants & Monsters

巨神と怪物

大地から生まれた巨神たちと、英雄の前に立ちはだかった異形の者たち。同じ「異形」でも、神々を助けた側と討たれた側に分かれます。

ガイアとウラノスの子として生まれた、ティターン神族の兄弟たち。異形ゆえに父に疎まれ地の底へ封じられたが、解き放たれるとゼウスの側に立ち、その勝利を支えた。

ヘカトンケイル Hecatoncheires 百の腕と五十の頭を持つ三兄弟

ガイアとウラノスの子で、コットス・ブリアレオス・ギュエスの三兄弟。父ウラノスに疎まれて大地の底へ封じられていたが、ゼウスに解き放たれるとティタノマキアで岩を投げ続け、ティターン神族を敗走させた。戦後はタルタロスの番人となったという。

百の腕母:ガイア
キュクロプス Cyclopes 雷霆を鍛えた一つ目の巨人

額に一つの目を持つ鍛冶の巨人、ブロンテス・ステロペス・アルゲスの三兄弟。ゼウスに解放された礼として雷霆を鍛えて贈り、ハデスには姿を隠す兜を、ポセイドンには三叉戟を与えた。オリュンポスの武具はこの手から生まれている。

一つ目雷霆の鍛冶
ギガンテス Gigantes オリュンポスに挑んだ大地の巨人族

ティターン神族を失ったガイアが、傷ついたウラノスの血から産んだ巨人たち。神の手だけでは倒せぬ定めを負っていたため、神々は人間の英雄ヘラクレスを味方に迎え、ギガントマキアと呼ばれる大戦のすえにようやく制した。

母:ガイア討伐:ヘラクレス
テュポン Typhon 神々を追い散らした最大最強の存在

ガイアが最後に産んだ、山より高く肩から百の蛇の頭が生える怪物。オリュンポスを襲って神々を敗走させ、ゼウスの腱を抜き取って一度は勝利した。だが再起したゼウスの雷霆に討たれ、エトナ山の下に封じられたと伝えられる。

母:ガイア封印:エトナ山
Tales Retold

物語・エピソード

神々と英雄たちが織りなす物語を、神話の時代ごとにたどれます。表題を選ぶと本文が開きます。

神の血を引く者たちが怪物と試練に挑み、そして過ちを犯した時代の物語。

獅子やヒュドラ、ケルベロスなど十二の功業の場面に囲まれ、棍棒を手に立つヘラクレスを描いた絵画風情景

ヘラクレスの十二の功業

罪を償うために課せられた不可能な試練 読む →
巨岩を持ち上げる若きテセウス、六つの試練、糸を手渡すアリアドネ、ミノタウロスとの死闘、黒い帆の船と岬に立つアイゲウス、冥界とヒッポリュトス、そして崖に佇む老いたテセウスを、一本の金の糸が貫いて繋ぐ横長の絵

テセウスの遍歴

怪物を討った英雄王が、最後に迎えた孤独な末路 読む →
崖の上で見送る父ダイダロスをよそに、太陽に近づきすぎて蝋の翼を溶かしながら海へ落ちていくイカロスの絵画風情景

イカロスの墜落

蝋の翼が教えた、過信の代償 読む →
宮殿での宴、黄金と化した料理や食器、そして呪いを解くためパクトロス川に身を浸すミダス王を描いた絵画風情景

ミダス王の黄金の触れ

望みが招いた、富と引き換えの代償 読む →